秋の夜長
読書に合う日本酒
粋(すい)
まじりけのない
年ごとに少しずつ琥珀色を集めて
美禄 琥珀の粋
特製500ml瓶 2,200円(税込み)
2021年10月27日(読書の日)限定1,200本 蔵出し
日本酒度:-32
アルコール度:11度
原料米:宮城県産米
酵母:まなみ酵母
精米歩合:70%
保存方法:常温可
読書に合う日本酒
【選者紹介】
松原 亨(まつばら こう)
1992年から男性ファッション誌『ポパイ』の編集に携わる。2000年、建築・デザインがテーマのライフスタイル誌、月刊『カーサ ブルータス』創刊に参加。2012年『カーサ ブルータス』編集長に就任。2018年『ポパイ』編集長に就任。2020年からwebマガジン『コロカル』の編集長を務める。
選書1
『素数の音楽』
マーカス・デュ・ソートイ/ 新潮社
全く規則性なく存在するかに見える素数。そのランダムさゆえに、クレジットカード情報の管理といった高度なセキュリティが要求される暗号化技術にも使われているという。つまり、素数の謎が解明されてしまうと、現代社会の情報セキュリティが危機に瀕するということにもなりかねないらしい。そんな素数の謎に、古代ギリシャ時代から実に2000年もの間、あまたの天才数学者が挑んできた。が、しかし、謎は今も謎のままだ。古酒のおかげで完全にリラックスした頭で、ほろ酔いで気が大きくなっているのをいいことに、素数の深淵な世界を覗いてしまおう。
選書2
『ザ・ボーダー』
ドン・ウィンズロウ / ハーパーBOOKS
思い切って結論から言ってしまうと、「麻薬で死ぬ人を減らしたいなら、麻薬を合法化するしかない」というのがこの著者の考えだ。アメリカで「麻薬戦争」という用語が登場したのは1971年のニクソン政権のとき。それから50年、アメリカが戦うもっとも長い「戦争」と言われる上に、流通する薬物の量も種類もますます増え、この戦いはなんの成果もあげていないと著者は言う。麻薬とは戦っても勝ち目はなく、合法化してコントロールするしかない、という主張にあなただったら何と答えるだろう?
選書3
『憂鬱と官能を教えた学校』
菊地成孔・大谷能生 / 河出書房新社
現代では当たり前だと思われている、1オクターブを12等分して調律する「十二平均律」が一般化したのはヨーロッパでも19世紀のことだという。著者によれば「音楽のデジタル化」は昨日今日の話ではなく、この平均律の普及から始まったということになるらしい。タイトルの「学校」とは、アメリカ・ボストンにあるバークリー音楽院のこと。1945年に誕生したこの音楽学校が、現代まで続く音楽のデジタル化の歴史の中で、何を発明し、どんな役割を果たしたのか? 多くの音楽ファンにとって目から鱗であろう新鮮な音楽史を、サックス奏者である菊地成孔が「シロウト」でも楽しく理解できる軽妙な語り口で講義してくれる。
【選者紹介】
川村 力(かわむら ちから)
古本酒場「鉄塔文庫」(仙台市青葉区)創業者兼運営委員長。東日本大震災の年に開いた小さな酒場は2021年10月で10周年。昭和23年築のバラック小屋で金曜夜に皆様をお待ちします。裏の顔は編集記者。出版社勤務を経て、現在『Business Insider日本版』専門編集委員。
選書1
『父のトランク~ノーベル文学賞受賞講演』
オルハン・パムク / 藤原書店
「琥珀の粋」を口にすると、目を瞑(つむ)りたくなります。深い海の底に誘(いざな)われるように。思わず記憶をたどる思考を始めてしまうお酒です。世界中で愛されるトルコのノーベル賞作家、オルハン・パムクの語り口を思い出しました。私はなぜ考え、書き、生きるのか。その淵源を、作家は父親の記憶と痕跡が詰まったトランクケースにまでさかのぼります。
選書2
『桐下駄の話』(短編集『秋夜』に収録)
水上勉 / 小学館
「琥珀の粋」は古酒なのに、舌の上もノドもさらさら流れていく潔(いさぎよ)さを感じました。13年という月日を気仙沼の蔵の奥でひたすら待つ間、タンクの中でお酒がきいた「静謐」が伝わってくるかのよう。実は、桐(きり)の木も、風や水の音をきいて育つとか。谷水のせせらぐ音をためて育った桐は琴の腹材に最適で……そんな農家の話をもとに水上勉が生み出した珠玉の短編です。
選書3
『焼き鳥とクラリネット』(短編集『誰かがそれを』収録)
佐伯一麦 / 講談社
お酒の味に奥行きをもたらすのは人生のエピソードだと常々考えています。あれほどの悲しみや苦しみを生み出した東日本大震災のさなか、黙りこんで時間の流れを刻み込み続けた「琥珀の粋」は、味覚や嗅覚、触覚を通じて、飲む人それぞれに何かを語ってくれる気がしました。先行きを予想もできない人生とお酒の関係をこんな文相で表現できるのは佐伯一麦だけだと断言できます。
【選者紹介】
岡沼 美樹恵(おかぬま みきえ)
大学卒業後、東京ニュース通信社入社。編集局勤務を経て、1999年より地元仙台でフリーのライターおよび編集者に。さまざまな媒体での執筆・編集のほかウェブメディア「暮らす仙台」にて東北のよいもの、よいことを発信。ローカルビジネスの振興に携わっている。
選書1
『ホテル・ストーリー』
森瑤子 / 角川書店
かつて憧れた大人の世界を思い出させてくれた「琥珀の粋」に、久々にページを繰ったのがこの本。学生時代、森瑤子さんの恋愛小説を夢中で読んだものでした。ウィットに富んだ会話に、男女の恋愛の駆け引き、登場する女性たちの洗練されたファッション…。そのすべてに憧れ、いつか私にもそんな世界が待っていると思っていたのに…あれ?もうアラフィフだぞ。
選書2
『van Gogh』
フェルト・ファン・アイデルトほか /
NHK、NHKプロモーション、中日新聞社
2005年に東京で行われた「ゴッホ展」のカタログ。中学生のときからゴッホの絵画、とくにこの表紙の「夜のカフェテラス」が大好きでした。この人たちはどんな話をしているのかな。何を飲んでいるんだろう。そんな想像をしながら見るのが楽しいんです。この人たちに「琥珀の粋」を飲ませたら、なんて言うだろう。ね、ちょっと聞いてみたくなりませんか?
選書3
『超訳論語』
安富歩 /ディスカバー・トゥエンティワン
高校時代、大いに苦しめられた「論語」の世界。でも不思議ですよね。大人になるとなんだかあの苦痛の正体を知りたくなる。それで購入して読んでみたら、なんと、人生で私たちが遭遇するさまざまな困難を乗り越えるヒントがいっぱいの良書でした。毎日お酒と一緒に読んでいたら、誰かに悩みを相談された時にはビシッ!といいことが言えるようになる…かも。
以上、2021年10月27日蔵出し時点での情報となります。(不躾ながら順不同、法人格および敬称略にて失礼します)
食事に寄り添う酒を造ってきた
~蒼天伝という正統、美禄という挑戦~
清酒「蒼天伝」で知られている、創業大正元年の老舗酒蔵です。以来100年以上にわたり、地元で育てた米と湧水にこだわり、気仙沼の地に根を張った酒を静かに造りつづけてきました。東日本大震災では社屋や酒蔵が流失する困難に遭いましたが、気仙沼の顔である内湾地区に、9年越しの再建を果たしました。
宮城県固有の酒米「蔵の華」の特性を活かし、丁寧に発酵させていくという考え方に基づき、業界のトレンドとは一線を画した酒造りを貫いています。最近では、日本酒の新境地を開くため、世界の女性が選ぶワインコンクールにエントリーし、日本酒部門最高峰の賞を受賞。従来の日本酒の枠にとどまらない挑戦的な試みを続けています。
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